09 June 2023
レンズのお話。第2回「メガネは十人十色」
前回は、「メガネは『見たい距離』に合わせることが大事」というお話と、それを可能にする「遠近両用レンズ」についての紹介をしていただきました。引き続き『マトイニコメ』の店長の佐々木さんに、メガネとサングラスを兼用できるレンズ「調光レンズ」についてお話を伺ってみます。
屋外に出たらサングラスになるレンズ
調光レンズとは、紫外線や可視光線が当たることで色が変わるレンズを指します。ここ数年、その品質も累進レンズと同じように進化しているそうです。
-「近年発売されたものは、以前と比べてすぐに着色し、色が早く抜ける(クリアに戻る)ようになったり、選べるカラーバリエーションが増えたりと、機能面での改善が多く見られます。『サングラスとメガネの両方を使いたいけれど、2本持つのはちょっと…』と考えている人へ、1本で済むメガネとして、調光レンズをおすすめする機会は増えました」
と佐々木さん。
調光レンズにはどんな特徴がありますか?
―「『遠くを見たい・近くを見たい』というメガネの使い道と、『眩しさを防ぎたい』というサングラスという道具、両方の機能を兼ね備えているレンズです。メガネ1本でどちらもカバーできるため、自転車やバイクなど、掛け替えが難しいアウトドアシーンや、なるべく荷物を少なくまとめたい旅行の機会に活躍するメガネとして紹介しています」
調光レンズを入れる際、おすすめのメガネは?
―「透明の状態でも色付きの状態でも、好印象になるフレームです。使うシーンが異なる都合上、どんなものでもマッチするとは言いにくいのですが、それこそスペックエスパスはとても向いていると思います。スペックエスパスの場合、日常使いはもちろん、アクティブなシーンでもズレないという機能性を兼ね備えています。室内と屋内、両方で活躍するその点は、調光レンズの優位性と一致しています。どんな場面でも違和感なく掛けられると思います」
おすすめのレンズカラーは?
―「調光レンズの色の選択肢は増えましたが、選ばれる機会が多いのはやはりグレーとブラウンです。メガネのフレームの色味に合わせてどちらかを選んでおけば、失敗が少ないと思います。どちらでもいい場合、『レンズ越しの色味が変わらず、再現性も高いのがグレー』『眩しさ軽減やコントラストのある見え方を重視するならブラウン』という具合に、カラーのもつ機能で選ぶ方法もあります」
そもそも、サングラスを選ぶコツは?
―「サングラスも『どんなシーンで掛けるのか』を想定して選ぶのが一番です。海や山など、しっかり眩しさをカットしたいのであれば濃いめのレンズカラーを選ぶほうがおすすめですが、これでは街なかで目立ってしまいます。薄めのカラーを選ぶと、その逆に。自分の視界が心地良いことと、その姿を人からどう見られているか、の両方を考えないとならないのが、悩ましいポイントです。その点でも、幅広い場面に対応できる調光レンズは優秀です。初めてサングラスに挑戦してみたい人にもぴったりなレンズとも言えるはずです」
カラーが豊富になり、機能的にも進化が見られる調光レンズ。「遠近両用の調光レンズ」という注文の仕方も選べるそうです。『仕事から戻ってメガネをかけ替えることなくランニングをしたい』、『アウトドア趣味や旅行とタウンユースをまとめたい』など、日常を1本のメガネで過ごしたいという人にはピッタリな、すごいレンズなのです。
調光レンズを入れたスペックエスパス(※ 右レンズだけ紫外線を当てたもの)
100人いたら100人違う、メガネ選び
2回に分け、見たい距離を楽にしてくれる累進レンズについて、眩しさをコントロールしてくれる調光レンズについて、お話を伺いました。どちらのレンズを選ぶにしても「あなたにとってベストなメガネは、100人いたら100人違う」ので、メガネ選びは信頼できるプロに相談したほうがよいでしょう。
今でも、「遠近」という言葉の響きだけで敬遠しがちですが、その人の年齢や職業にあった、度数が変化する累進レンズが多く登場しているので、ぜひお店で試していただきたい。例えば、遠くを見ることが得意なのは遠近両用レンズ、手元とパソコン作業が得意なのは中近や近々両用レンズ。そして、若年層に使いやすいアシストレンズやサポートレンズもあります。その選び方次第では、目の疲れを解消できるかもしれません。スマートフォンやパソコンが欠かせない時代だからこそ、様々な役割を持つメガネを上手に選び、有意義に過ごしたいものです。
『マトイニコメ』店長 佐々木 洸平さん
『マトイ』は東京都下北沢に、『マトイニコメ』は横浜市日吉に店舗があるメガネ屋さん。おしゃれな店内でユニークなスタッフさんが出迎えてくれます。店長の佐々木さんはメガネ販売歴10年。メガネのことなら何でもわかりやすく教えてくれます。