15 April 2020
オプトデュオのクリエイティビティを支えるクラフトマンたち
〜試作屋〜
試作屋。
なんだかカッコイイ響き…!
そんな職業があったなんて、皆さんご存知でしたか?
その名のとおり、新しいメガネの試作を専門とする職人です。
世界シェアを誇るメガネの産地・鯖江でも
試作屋と呼ばれる職人はわずか20人ほど。
ほとんどが60代を過ぎた方々で、50代で若手と呼ばれる業界。
今回ご紹介するのは、
スペックエスパスの試作第1号を手がけたOSHO handworksの畑中康輔さん。
29歳で試作屋として独立し、現在37歳と年齢的には若手中の若手ですが、
国内外の著名なハウスブランド眼鏡を数多く担うなど
卓越した技術と、優れたデザインの再現性を持つ職人です。
OSHO handworks 畑中康輔さん
最近は機械を使って試作をする方がほとんどで、ゼロから手作業で創り出せる職人は畑中さんを含め極めてわずか。
メガネデザイナーが一番興奮するのは
「試作屋から初めて形になって上がってきたとき」。
同じデザイン画でも試作を担う人が違えば、まったく違う印象のメガネになります。
それはなぜかと言うと、
たとえば、「50代の女性が掛けているイメージで」と伝えても
スポーティーな方を想像するかもしれないし、
読書が好きな方を想像するかもしれない。
言葉のニュアンスからイメージを汲み取る、
そういう“感性の相性”が良くないと、
良いメガネは創り出せないと言います。
デザイナーと試作屋はお互いを理解し合うセンスが重要で、
そんなパートナーと出会えたことは、とても幸運なことと話す、オプトデュオ のデザイナー山岸さん(左)と畑中さん(右)。
普段から、世に出る前の未知のメガネを手がける試作屋・畑中さんですが、
スペックエスパスのデザイン画を見たときの感想はというと、
――「・・・。あれですね…、大変でしたね。笑」
大変、という言葉に集約していますが、
いろいろ試行錯誤したことがうかがえる無言の間。笑
5回以上試作を繰り返し、コンマ数ミリの厚みや
いいバネの具合が出せるポイントを探っていったそうです。
試作屋の仕事は、
デザイナーが紙に描いた立体的なデザインを平面図に起こし、
紙に描かれたイメージと同じになるよう立体に仕上げていくこと。
平面図で見る立体のイメージと、
それを実際に立体にしたときの印象は
必ずしも同じにならないときがあります。
――「そんなときは、より良い策を提案することもできるし、スペックエスパスの場合は『まかせた!』と言ってもらえることが多いので、作り手としてはやりがいのあるオーダーだなと思います。ゴールは手探りなので悩みますけど、いい感じに修正って僕の得意ワザでもあるし、目指すゴールはだいたい掴めてるんじゃないかな。」
スペックエスパスで一番気を使ったところは?
――「シンプルなメガネって、試作屋にとってはむずかしいものなんです。スペックエスパスは究極にシンプルなので、360度どこから見てもスッときれいな曲線、美しいシルエットであること。そして、それを工場で量産できるように、という点は常に気をつけています。」
(試作が完成すると、設計の手に渡り、最後は工場で生産に入ります。)
職人として試作屋のオモシロサはどんなところですか?
――「職人だな〜!と感じる瞬間はほぼありませんが、いつの間にか熱中しすぎてしまうときがあります。でも、トントンといい感じに完成したときはやっぱり嬉しいですね。」
モノづくりのむずかしさ、
それを上回る、かたちになったときの喜び。
ゼロからの創造を楽しむ職人たちがいるからこそスペックエスパスがあり、
ひいては、鯖江のメガネを支えています。
紙に描いたデザイン画を、そのままポンッと抜き出せる魔法のような技を持つ畑中さん。
スペックエスパスのこれからの挑戦に欠かせない職人のひとりです。
OSHO handworks
鯖江市杉本町32-71
0778-43-5653