30 June 2020
specespaceクリエーティブディレクターより⑧
6月に入り、家の近所には蛍が飛び舞うようになりました。真っ暗闇の中で小さな光の群が一斉に点滅する様は、圧巻の光景です。
そんな漆黒の闇に浮かぶ蛍の光に対して懐中電灯を灯すのも興ざめなのですが、川沿いの夜道を歩くのは足元が見えづらいので仕方ありません。
そんな暗闇でも徐々に目が慣れてきます。暗闇に眼が慣れてくる現象を「暗順応(あんじゅんのう)」といいます。 暗順応にかかる時間は加齢によって長くなります。代謝機能の低下や視細胞の機能低下によるものです。
電気の恩恵によって、現代はむしろ明るすぎる夜なのかもしれません。漆黒の闇の中を歩くことがあまりない我々にとって、急な暗さに順応していく眼の機能がだんだんと低下していくような気がします。
次回はある種「暗闇」の中で舞う、能楽のお話をしようと思います。