28 February 2023
「スペックエスパスかける人」第6回 能楽師 大橋さん「メガネは楽しむもの」
太鼓を習い始めて45年以上、またプロとして活躍する能楽師になってからも鍛錬を重ねる大橋さんに、後継者を育てるためにしていることや、日常の過ごし方について教えてもらいました。
―「私は、いろんな人に能を広めることが自分の務めだと思っています。そのためにはまず実際に能楽に触れてもらうことが大事。そこで、能楽師が集まり、約6年前からハピリンにある能舞台でワークショップと能楽鑑賞を組み合わせたイベントを行っています。そこでは、謡本の流麗な文字を写す写謡や楽器をさわる体験ができますし、装束付けの実演などもあります。また、毎年5月~1月の間、月2回は子ども能楽塾を開講したり、希望する小中学校を回って、謡、仕舞、狂言、楽器演奏を体験してもらったりして、若い人を育てる種まきを続けています」
厳かな舞台で演奏する大橋さん(一番左)。
昨年10月に『箙』のシテ(主人公)を演じた山岸社長
それでも、能楽師としての自分はまだまだとおっしゃる大橋さん。男性が多い能楽界で、女性としてのご苦労はなかったのでしょうか。
―「力が弱く、自分で太鼓を締めることができなかった」
太鼓を締めるというのは
―「能楽で使用する打楽器は、木の胴を皮で挟み、調(しらべ)という麻紐で締めるという構造で、特に大鼓や太鼓は調をギューッと締めて皮をパンパンに張った状態にして演奏し、舞台が終わると調を緩めて保管します。非力な女性ではなかなか締めが甘く、良い音にならないので、いつも舞台に出るときは男性に太鼓を締めてもらっていました。他流の女性太鼓方はネジで太鼓を締めているので、最近はネジを使っています」
お弟子さんにお稽古をつける一方で、自身の稽古時間を作るための工夫は
―「なるべく午前中にお稽古をするようにしています。家事を全部終えてからお稽古しようとしてもなかなかできないから、できるだけお稽古を優先させるようにね」
朝、炊事・洗濯をしてご主人を仕事に送り出してから、お稽古に入るのが毎日のルーティン。雑務を少しあと回しにしても、やるべきことを一番先にすることが毎日続けるコツのようです。
能の上演時間は短いもので約40分、長いものだと2時間を超えるような大作もあると聞きますが、体力的に気を付けていることはありますか。
―「能の場合、囃子方では大鼓方と小鼓方は床几というイスに座りますが、笛方と太鼓方はずっと正座です。なので、普段も長時間の稽古をすることが正座の訓練にもなります。あとは運動すること。足が弱くなったり、ちょっと太っただけでも座り続けるのがすごくつらいですよ。だから1週間に2回はジムに行くようにしています」
では、スポーツジムやお稽古の時にかけているメガネはというと
―「メガネはとても好きなのでいろいろ持っています。周りに対しても、洋服よりメガネを褒めちゃう。いつもメガネをかけている人は、自分のメガネを褒められると嬉しいみたいですね」
最初に買ったオプトデュオのメガネは、ウデが紫色のスペックエスパス(写真一番左)。その後、レトロなデザインが気に入ってエイチフュージョンも購入しました。しかし、再び丁番がないスペックエスパス(昨春発売・丸めのクラシックスタイル)を好んで使うようになったそう。
歴代のメガネ。一番左からspec espace(スペックエスパス)、H-fusion(エイチフュージョン)ほか
―「太鼓は、皮の中心に貼ってある鹿革で作られたバチ皮をねらって打つのですが、近眼が強いので、お稽古の時はしっかり見えていないと不安。バチ皮に命中しないと良い音にはなりません。以前にかけていたメガネはすぐに下がるし、細かい字を見るときにはメガネをずらしたりと、お弟子さんに教える時など、メガネの上げ下げに結構忙しかった。エスパスのメガネはもう絶対にそれがないので、ジムも稽古も、日常生活がこの一本で事足りています」
太鼓は中心をねらって打ちます
大橋さんは目の充血がきっかけとなり、40代でコンタクトをやめてメガネ生活に変わりました。現在は、遠近両用や近眼用のメガネを4本ほどお持ちですが、今後、挑戦したいメガネについてもお聞きしました。
大橋さん
―「丸いメガネをかけたことがないので一度かけてみたい。どんな感じになるか気になります。また、今、緑内障を患っているので、だんだんと視野が狭くなってくるのをカバーできるようなメガネがあったらいいなぁ」と。
山岸社長
「丸メガネは年配の方は小さめ、若い方は大きいものを好む傾向があります。世代によってサイズの好みは変わりますが、スペックエスパスのユーザー層は少し小ぶりのほうがいいのかな。あと、丸型で小さめだとレンズの厚みがそんなに気にならないのでおすすめです」
世の中は、クラシックなメガネのモデルが定番化しています。今後、スペックエスパスもクラシックスタイルのラインナップを増やしていく予定だとか。実は、軽量や絶妙なフィット感といった機能面が露出することの多いスペックエスパスですが、そればかりではなく、「オンオフ問わず、スタイリングも楽しめるアイウエアでなければ」と山岸社長は考えているようです。
大橋さんをはじめ、スペックエスパスの新作を楽しみにしているユーザーが多いのも頷けます。
大橋 紀美さん
公益社団法人能楽協会に所属する能楽師(観世流太鼓方)。
金沢大学在学中に能に出会い、麦谷清一郎師に太鼓を習い始める。夫の転勤や子育てにより10年間中断したが、35歳で稽古を再開。事務職を続けながら、51歳でプロの能楽師の道へ。現在は舞台に出演する傍ら、子供達に能楽の楽しさを伝え、後進の育成にも力を入れている。